ミネラルウォーター

売られているのはミネラルウォーターだけじゃない!?

ひと昔前まで「飲料水」と言えば「水道水」でした。(僕のこども時代は井戸水もまだ重要な飲料水だったんですよ....)

それが今では「水道水」と同じくらいペットボトルなどに入れて売られる水も一般的になり、もしかしたらすでに「飲料水=水道水」とは思わない方も少なくないかも知れませんね。

そんな風にメジャーになってきたペットボトルなどに詰められて売られる水なのですが、どんな水が入っているのでしょうか?

ご存じですか?

「そんなのミネラルウォーターに決まってるでしょう!!」

って思いがちですが、実は販売されている水はミネラルウォーターとは限らないんですよ。

そんなボトルに入れて販売されている水の種類について今回はまとめてみたいと思います。

自然のめぐみ「ナチュラルウォーター」

あまり聞きなれない名前かも知れませんけど、農林水産省のガイドラインで規定されて、ペットボトルの裏面にも表示される正式名称なんです。

これがどんな水なのかと言いますと

特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

となっています。

すこし簡単にいうと、

  • 天然の地下水
  • フィルターでごみを取ったり、殺菌のために加熱処理(中心部水温85℃で30分以上)する以外の加工は不可

とほとんど加工がされていない、すごくナチュラルな水なんです。だから「ナチュラルウォーター」なんですね!

牛乳で例えると「成分無調整牛乳」といった感じでしょうか。

水道水も河川から取水していますので「ナチュラル」な感じもしますが、

  • 地下水ではない
  • 殺菌に塩素を使用している

ことから、「ナチュラルウォーター」ではありません。

 

ちなみに、地下水には7種類あります。

  1. 浅井戸水:浅井戸からポンプ等により取水した地下水
  2. 深井戸水:深井戸からポンプ等により取水した地下水
  3. 湧水:不圧(自由面)地下水、被圧地下水の区分によることなく、自噴している地下水
  4. 鉱泉水:自噴する地下水のうち水温が25℃未満の地下水であり、かつ、溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水
  5. 温泉水:自噴する地下水のうち水温が25℃以上の地下水、又は、温泉法第2条に規定される溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水のうち飲用適のもの
  6. 伏流水:上下を不透水槽にはさまれた透水層が河川と交わるとき透水層内に生じる流水
  7. 鉱水:ポンプ等により取水した地下水のうち溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

伏流水ってこういうことだったんですね。初めて知りました。

自然のめぐみにミネラル含んだ「ナチュラルミネラルウォーター」

更に聞きなれない名前かも知れませんが、こちらも正式名称。

「ナチュラルウォーター」の一種になります。

ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう。)を原水としたもの

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

「ナチュラルウォーター」と同じように地下水として汲み上げられた水なんですが、地表から地中深くに浸み込んで溜まっている間に、地中のミネラル(無機塩類)が溶け込んだ水を指します。

ミネラルだけではなくて、天然の二酸化炭素が溶け込んでスパークリングになった「ナチュラルウォーター」も「ナチュラルミネラルウォーター」に含まれます。

 

ちなみに二酸化炭素が溶け込んだ水(炭酸水)は、含まれる炭酸ガスが静菌作用を持っているため、

  • 容器包装内の二酸化炭素圧力が20℃で98kPa以上
  • 植物又は動物の組織成分を含有しない

以上を共に満たす場合は、殺菌または除菌をしなくてもいいとされています。(ただし、腸球菌及び緑膿菌が陰性でなければなりません。)

ミネラルウォーター類(水のみを原料とする清涼飲料水をいう。以下同じ。)
のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が 20℃で 98kPa 未満であって、かつ、
殺菌又は除菌を行わないものにあっては、腸球菌及び緑膿菌が陰性でなけ
ればならない。

参照元:厚生労働省「食品、添加物等の規格基準(昭和 34 年厚生省告示第 370 号)」

炭酸水にそんなパワーがあったとは驚きですね!

 

話を戻しましょう。

「ナチュラルウォーター」の一種なので、

  • 天然の地下水から汲んだもの
  • フィルターでごみを取ったり、殺菌のために加熱処理する以外の加工は不可

という点は同じです。

「ナチュラルミネラルウォーター」を加工して作る「ミネラルウォーター」

「ミネラルウォーター=ナチュラル」という感覚がありますが、厳密に言うと「ミネラルウォーター」は「ナチュラル」ではありません。

ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気(曝気)、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

「ナチュラル」の称号を冠するためには、

  • 天然の地下水から汲んだもの
  • フィルターでごみを取ったり、殺菌のために加熱処理する以外の加工は不可

を両方とも満たす必要があります。いずれかでも満たせない場合は、「ナチュラル」と冠することが出来なくなります。

ただ、勘違いして頂きたくないのは、「ナチュラル=偉い・高級」ではない点です。

「ナチュラルミネラルウォーター」を加工して作られる「ミネラルウォーター」の場合、

  • 品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気(曝気)、オゾン殺菌、紫外線殺菌
  • 複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合

などの処理は、製品をより安全に、美味しく提供するための加工処理になりますので、水として劣っていることはありません。牛乳で例えるなら「成分調整牛乳」でしょうか。

それ以外のものは「飲用水」「ボトルウォーター」

今までにあげた

  • 「ナチュラルウォーター」
  • 「ナチュラルミネラルウォーター」
  • 「ミネラルウォーター」

以外の水は「飲用水」「ボトルウォーター(ボトルドウォーター)」と表示されて、販売されます。

ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

これを読んでもあまりイメージが湧かないかも知れませんね。

「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」以外の「飲用水」「ボトルウォーター」と表示される水には、

  • 純水
  • 蒸留水
  • 河川の表流水
  • 海洋深層水(水深200 m以深の海水を処理した水)
  • 水道水

などの飲用に適した水の名称です。

「飲用水」「ボトルウォーター」には処理方法の限定がありませんので、それぞれ必要な処理がされて、販売されています。

たとえば海洋深層水は、海水淡水化プラント(電気透析やRO膜)によって塩分を取り除く(塩分以外のミネラルは残されます)ことで飲料に適した状態に加工されています。

一時期、自治体が自前の水道水の美味しさをアピールするために販売した水道水もこれに該当します。

「天然」や「自然」と呼べるのは「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウオーター」だけ

日々の生活の中ではすこし漠然とした感じで使っている「天然」や「自然」という言葉ですが、水を販売する時には厳格な規定があります。

5 表示禁止事項
次に掲げる事項は、これに表示してはならない。

(1)医薬品的な効能効果を表示し、又は暗示する用語

(2)ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウオーター以外のものに対する「自然」、「天然」の用語及びこれに類似する用語

参照元:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン(PDF)

この規定によって、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウオーター」以外の水について「天然」や「自然」、またはそれに似た用語を使用することが出来ません。

ですから、商品名に「天然」や「自然」、またはそれに似た用語が使われている場合は、

  • 天然の地下水から汲んだもの
  • フィルターでごみを取ったり、殺菌のために加熱処理する以外の加工は不可

を共に満たしていることになります。

以上を図にまとめるとこんな感じです。

ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーター・ミネラルウォーター・飲料水・ボトルウォーター

以上、販売されている水の種類についてまとめてみました。

 

いかがでしたでしたか?

水については、分かりにくい「軟水と硬水の違い」や「RO水・蒸留水・イオン交換水の違い」なんかも今後とりあげて行きたいと思っています。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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