ミネラルウォーター

「ペットに硬水」は危険です

日本の水道は世界的に見て安全だと言われていますが、排水管が老朽化し、時々破裂などの問題を起こしているのを見ると、あんなに汚れた管を通った水を飲んで大丈夫なのかと思ってしまいます。

自治体は盛んに「わが町の水道水は安全」とアピールしていますが、あれは入り口での話であって、各家庭の蛇口から出る水の安全性を確認してくれてはいません。

「多分安全だろうけど、なんとなく不安」といった漠然とした不安感から、ペットボトル入りのミネラルウォーターが市民権を得て久しく、そして最近飲料水は宅配され、水道の蛇口からではなく、ウォーターサーバーから出てくる家庭も増えています。水道管の老朽化問題が抜本的な改善がされない限り、この流れに変化はないと思います。

「人間にとって安全」=「動物にとっても安全」ではない場合も

そんな水道水よりも安全なイメージがあるボトルに入った水ですが、人間と同じように動物にも安全かと言うと必ずしもそうではない部分もあり、注意が必要です。

ネコに限らず、イヌも、そしてその他の動物も大切な家族ですので、食べ物だけではなく、飲み水にも気を配ってあげたいという人が増えているのはいいことだと思います。

イマイチ水道水が信用出来ないという方の中には、ペットにもミネラルウォーターを飲ませているという方もいるようです。一方、「ミネラルウォーター」をペットに飲ませるのは健康に良くないという意見も見られます。

では、実際にはどうなのでしょうか?

ペットにミネラルウォーターを飲ませるのは注意が必要

イヌやネコといった動物も人間と同じように水が無くては生きていけません。種類、体の大きさや体調などに応じて、一日に必要な水の量は決まっていますが、水を断たれると長くは生きられないのは同じです。因みに人間の場合は、

水なしで3日(72時間)、食事なしで7日

と言われ、水は何よりも重要です。

そんな人間が「健康のために」と飲むミネラルウォーターには様々なミネラルが溶け込んでいます。人に不要・有害なミネラルが溶け込んでいるミネラルウォーターは売られていないため、入手できるものは全て人間にとって有用なミネラルを含んだ水になります。

一般に販売されるミネラルウォーターは「人間用」で「ペット用」ではありません

スーパーなどで販売されているミネラルウォーターは、「人間にとって有用なミネラルを含んだ水」です。

生命の維持にとって水が不可欠という点では、人間もペットも同じですが、有用なミネラルは人間と動物とでは必ずしも同じではありません。

最近、高カカオのチョコレートが健康にいいとして人気急上昇ですが、イヌやネコにとってチョコレートに含まれるポリフェノールは非常に有毒で、食べると健康を害するだけではなく、場合によっては命を落とします。

チョコレートがペットにとって危険なことは有名になりましたが、他にも人間にとっては健康増進にプラスになるのに、イヌやネコには危険な食べ物がいくつもあります。

  • ネギ:最近「ガッテン」で免疫力を高めるとして紹介されたばかり!
  • キシリトール:人間用のお菓子の誤食・盗み食いに要注意。
  • アボカド:美容にいいイメージがありますが、それは人間の場合。

このように、人間とイヌやネコとで全く逆になってしまう食品(栄養素)もあります。

人間用のミネラルウィーターの中に含まれる

  • カルシウム(Ca)
  • マグネシウム(Mg)

は、人間にとっても、イヌやネコにとっても必須元素ではありますが、イヌやネコはフードの中に必要な量が既に含まれているために、もしミネラルウォーターによって過剰なカルシウムとマグネシウムを摂取してしまうと、尿路結石症を起こしてしまう恐れがあります。

尿路結石症と言えば、大の大人がのたうち回るほど痛みがひどいと言われている恐ろしい病気です。結石による疝痛は「痛みの王様(king of pain)」とも呼ばれるほど強いもので、もしペットが尿路結石症にかかった場合は、この痛みを味わうことになってしまいます。

イヌもネコも尿路結石症にかかりますが、ネコの場合は尿管を閉塞させてしまう可能性がイヌよりも高く、それを防ぐために低マグネシウムのフードも販売されていて、ネコの場合は与えている人も多いかも知れません。

尿路結石症を防ぐために、せっかく低マグネシウムフードを与えているにも関わらず、たっぷりマグネシウムが含まれた硬水を与えてしまっては、元も子もありません。

イヌやネコに尿路結石症を引き起こす原因となる物質はカルシウムとマグネシウムですが、この2つは水の硬度を決める要素です。

水の硬度は

カルシウム濃度 (mg/㍑)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/㍑)×4.1

で決まります。

カルシウムとマグネシウムの濃度以外にも尿路結石症を引き起こす因子があるため、硬水=尿路結石とはなりませんが、過剰なカルシウムとマグネシウムの摂取は尿路結石症に繋がるリスクが高まるため、フードに含まれる必要な量を超えないためにも、ミネラルウォーターを与えることによって過剰摂取になることを避けた方が安全です。

ペットの健康のため、ミネラルウォーターの中でも硬水を与えることは避けましょう。

ペットに安心して与えられる水とは何でしょうか?

日本では、硬水と軟水は以下のように分類されています。

名称 硬度 (mg/㍑)
軟水 0–60
中軟水(中硬水) 61–120
硬水 121–180
超硬水 ≧ 181

水の硬度は、

カルシウム濃度 (mg/㍑)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/㍑)×4.1

で決定されますので、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの濃度が低い「軟水」を与える方が安全です。

軟水と呼ばれる水は、硬度が0~60(mg/㍑)のものを指しますが、日本の多くの地域の水道水は軟水になりますので、水道水をフィルターで濾過して与えるのもひとつの手です。

軟水であれば、水に含まれるカルシウムもマグネシウムも高くはありませんので、飲むことで尿路結石症を起こしやすくするということはありません。

ただし、沖縄県や千葉県では、硬度が120(mg/㍑)を超えて「硬水」になる

  • 場所
  • 時期

がありますので、住んでいる場所の水の硬度を調べ、硬度が高い場合は蒸留水などを与えると安心です。

それでは、ボトルに入って「ミネラルウォーター」として販売されているものが全てペットに与えない方が良いのかと言えば、実はそのようなことはなく、人気のある「ミネラルウォーター」の中には、一般的な水道水よりも硬度の低い軟水も含まれていますので、ペットに与える場合には、裏ラベルを良くみて「軟水」を選ばれると安心です。

商品名 販売者 硬度 区分 採水地
富士山のバナジウム天然水 アサヒ飲料 29 軟水 山梨県富士吉田市・静岡県富士宮市
南アルプスの天然水 サントリー 30 軟水 山梨県白州町・山梨県北杜市
おいしい水 六甲 アサヒ飲料 32 軟水 兵庫県神戸市
森の水だより 日本アルプス 日本コカ・コーラ 34.6 軟水 山梨県白州町
アルカリイオンの水 キリン 55~64 軟水~中軟水 静岡県御殿場市・岐阜県岐阜市・静岡県焼津市
クリスタルガイザー 大塚食品 38 軟水 アメリカ合衆国カリフォルニア州・シャスタ山・ホイットニー山
ボルヴィック キリン 60 軟水 フランス オーヴェルニュの国立公園
エビアン 伊藤園 304 超硬水 フランス エビアン近郊カシャ水源
ペリエ ネスレ日本、サントリーフーズ 381.9 超硬水 南フランス ヴェルジェーズ
コントレックス ポッカサッポロ 1468 超硬水 フランス ヴォージュ県コントレクセヴィル

都道府県の中で水道水の硬度が低い(軟水)と言われているのは愛知県で、2014年度の検査(JWWA)では、

浄水場 最高値 最低値 平均値
上野浄水場 25 18 22
高蔵寺浄水場 32 18 24
豊橋浄水場 28 25 27
豊川浄水場 37 19 24
幸田浄水場 20 19 20
豊田浄水場 17 14 16
犬山浄水場 22 17 20
知多浄水場 35 32 33
豊橋南部浄水場 26 21 23
尾張西部浄水場 28 20 23
尾張東部浄水場 23 17 20

千葉県の最低値が愛知県の最高値を超えているほどです。

そんな日本で最も柔らかいと言われる愛知県の水の硬度は14~35(mg/㍑)となっていますが、有名な「南アルプスの天然水」でも硬度は30(mg/㍑)しかありませんので、ミネラルウォーターにはなりますが、水道水よりも硬度が高いということはありませんので、イヌやネコに与えても問題ありません。

外出先で適当な水道水が見付からない時は、コンビニなどでペットボトルに入った軟水のミネラルウォーターを購入してペットに与えてあげてください。

もし「人が水道水を飲まないのにペットにだけ飲ませることはできない」と後ろめたい場合は、

  • 軟水のミネラルウォーター
  • ミネラル分のない蒸留水(Distilled Water)

なら、ペットに安心して与えることができます。

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ですが、注意点もあります。

水道水は塩素で殺菌がされています。その塩素の存在は水道水を飲みたくないという理由のひとつにもなっている訳ですが、その塩素水はペットの飲み水にとっては重要な役割を果たしている点に注目する必要があります。

人間の場合、コップに注がれた水は直ぐに飲まれ、外気に触れたまま長時間放置されるようなことはありません。

ですが、一方ペットの場合は、飲む毎に新しい水をいれてもらえる訳ではないので、

  • 水の容器に舌を付けるため、フードや唾液が混入し、雑菌増殖の原因になります
  • 金属のボールを使った給水器も、唾液などが混入し、雑菌増殖の原因になります

などの問題があります。

  • 水道水中の塩素
  • 塩素のない水の中で増殖した雑菌

どちらがよりペットの体に悪いのか、ある意味究極の選択のような問題が残ります。

  • 水道水の硬度
  • 水換えの頻度(一日に何度か、それとも一日に一度きりか)
  • ペットの体質・体調(尿路結石症の既往があるかどうかなど)
  • 季節・室温

などによって、水道水を使った方が安全な場合もありますし、軟水のミネラルウォーターや蒸留水を使っても問題ない場合もあります。

ペットの健康のためには「硬水を与えない方が安全」ということだけははっきり言えますが、

  • どの程度の軟水にするべきか
  • 住んでいる地域の水道水を使っても大丈夫か
  • 水道水にするべきか、軟水のミネラルウォーターや蒸留水にすべきか

などは、ケースバイケースになりますので、判断に迷った場合は獣医師の先生に相談するのが安全で安心です。

飲み水中のミネラルは少なければ少ない方がいいのでしょうか?

ペットの尿路結石症は、

  • ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム):マグネシウム由来
  • シュウ酸カルシウム結石:カルシウム由来

という2種類があります。

ストルバイト結石ができやすいイヌ種やネコの場合は低マグネシウムフードを食べて、日常的に予防をして、もしストルバイト結石ができた場合には治療用のフードを食べることになります。

ストルバイト結石ができてしまうかどうかは、食べ物や飲み水に含まれるマグネシウムに由来しますが、実はマグネシウムの量だけではなく、遺伝など、人間がコントロールのできない要因も少なからず影響していることも分かっています。

せっかく頑張って低マグネシウムフードを食べ、飲み水中のマグネシウムにも気を配っても、残念ながら尿路結石症を患ってしまう恐れもありますし、更に厄介なことに、摂取するマグネシウム量を減らすことで、逆にシュウ酸カルシウム結石のリスクが上がってしまうという問題もあり、一筋縄に片付けることができない問題なんです。

マグネシウムはシュウ酸カルシウム結石の形成を抑制する働きがあるため、マグネシウムの摂取量を減らすとシュウ酸カルシウム結石のリスクが上がってしまう訳です。昔に比べてシュウ酸カルシウム結石のケースが増えているのは、低マグネシウムフードを食べるペットが増えたためと考えられています。

マグネシウム摂取を減らすことでリスクが上がったシュウ酸カルシウム結石の形成リスクを下げるためにカルシウムの摂取量まで制限することは生命に危険が及ぶ恐れさえあります。

このあたりのことは獣医師の先生に頼りたいところですが、獣医師の先生も食べ物に関する知識が十分ではない方も少なくないようですので、ペットの食事に関する知識が豊富なかかりつけの獣医師の先生を見つけてあげることが非常に重要です。

そのような先生の指導に従って、

  • 水道水にすべきか、軟水のミネラルウォーター・蒸留水にすべきか
  • マグネシウムやカルシウムに配慮したフードにすべきかどうか

は慎重に判断した方が安全で、ネットに書かれた知識だけに頼って判断してしまうのは少し危険かも知れません。

それでも唯一はっきり言えることは、

硬度の高いミネラルウォーター(硬水)はペットに与えない方が安全

ということですので、ペットに与える水についてお悩みの方はまずはそこから注意してあげてもらえたらと思います。

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