日本の名水

日本の名水百選のすべて

名水百選は、昭和60年(1985年)3月に環境庁(現在の環境省)が

日本全国から100か所の湧水・河川(用水)・地下水を「名水」に選定

したものです。

選定基準は、

  • 保全状況が良好
  • 地域住民等による保全活動がある

でした。

あれっ、ちょっと待って。「美味しい水」がない??

でも、これで合ってます。美味しいかどうか、そのまま飲めるかどうかは考慮されていません。中には煮沸しなければ飲めないとされるクオリティの水もあります。

名水百選が選定された当時、「名水百選に選ばれたおいしさ」等とうたったボトル入り飲料水が日本各地に登場し、さも環境庁のお墨付き的な感じで販売され、それを買った消費者が

名水百選の水を生水で飲んでしまう問題

が発生して社会問題化しました。

それを受けて、環境庁が注意喚起の文書を出しています。

ミネラルウォーターと名水について

平成3年7月23日

環境庁水質規制課

環境庁が選定した名水百選の水をミネラルウォーター等として商品化している例が見られるが、そのラベルに「環境庁選定名 水百選」等と書かれている場合がある。

これについて、次のように考える。

1. 基本的な考え方

 ① ミネラルウォーターの原水となっている河川、湧水等が名水百選に選ばれたことをPRすることは、それが事実に反するもの でない限り、問題ない。

 ② ただし、その広告又は表示が、次のような誤解を招くものであることは望ましくない。

  ア. 名水百選が、ミネラルウォーターそのものを対象として選ばれたものであるかのような誤解

  イ. 名水百選に選ばれたことにより、当該河川、湧水等が飲み水として優秀又は安全であることが認められたかのような誤解
   (名水百選は飲み水として選定したものではないので、表示を見たことにより当該河川、湧水等の水を直接飲むようなことが あっては問題である。)

2. 望ましい表示内容

 「名水百選」を広告又は表示に使用する場合には、次のようにすべきである。
 (1)単に「名水百選」又は「環境庁選定・名水百選」と表示するには、1.②ア.の誤解を招くおそれがあるので、望ましく ない。そこで、名水百選に選ばれたのは、当該ミネラルウォーターが原水として使用している河川、湧水等であることを明ら かにする必要がある。

 (2)1.②イ.の誤解を避けるため、原水に殺菌、除菌等の衛生的処理を加えていることを明らかにする必要がある。また、 名水百選に選ばれたことをもって飲み水に適している又はおいしいとすることは望ましくない。

   悪い例:「名水百選に選ばれたおいしさ」

 (3)以上のことから「名水百選」を使用する場合には、次の例のような表示を行うべきである。

   良い例:「このミネラルウォーターは、名水百選の◯◯◯◯の水を衛生的に処理して製造したものです。」

なお、「名水百選」でなく、「名水」という表現については、特段の問題はない。

ただし、「環境庁選定・名水」のように実質的に名水百選を意味する表現を用いた場合については「名水百選」を用いた場合 と同様に考えるものとする。

出典:ミネラルウォーターと名水について 平成3年7月23日 環境庁水質規制課

ザ・役所という感じの鼻につく文書ですが、これを出した気持ちも理解できます。「名水百選 ◯◯の水」を飲んだ人が、原水を汲みに行って、飲んで下痢をしたというトラブルが起きたら環境庁も責任を問われる恐れがありますから。

そもそも、どんなに綺麗に見える水でも、

  • 寄生虫
  • 細菌
  • ウイルス

などが入っている場合があります。(生で飲める水の方が少ないです。)

現在、日本で販売されている日本でボトリングされた飲料水は全て殺菌処理がされています。また、海外から輸入される有名ブランドのミネラルウォーターやナチュラルミネラルウォーターは有効成分を守るために殺菌処理がされていませんが、寄生虫・細菌・ウイルスなどの検査を徹底し、厳しく制限・管理がされています。

ですから、どれほど

  • 保全状況が良好
  • 地域住民等による保全活動がある

がされていたとしても、「名水百選」の水を生で飲むことは避けた方が安全ですし、選定から既に30年が経過していますので、煮沸して飲む場合も、自治体などが行った成分検査などがあるもの以外は避けた方が安全かも知れません。

全都道府県に存在する「名水百選」

「名水百選」のすごいところは、全ての都道府県から名水を選定して、ある程度の不公平感をなくしている点です。名水を自負する河川や湧水が多数ある地域には不満も残るかも知れませんが、「名水百選」は日本が水資源が豊かであることを再認識し、国民全てが水資源の保全を心がけることを狙ったものでもあるので、我慢してください。

1. 羊蹄のふきだし湧水(湧水)

北海道虻田郡京極町字川西にあるふきだし公園内にあります。

平成2年(1990年)には、ふきだし公園が「生活を支える自然の水(30選)」のひとつに選定されました。

また、ふきだし公園がある北海道虻田郡京極町が、平成8年(1996年)に国土庁から「名水の里きょうごく」として 「水の郷百選」に選定されてもいます。

羊蹄のふきだし湧水は、日量8万トンで、ミネラルウォーターとして販売されている他、近隣自治体の水源としても利用されていて、平成13年(2001年)10月には「京極のふきだし湧水」として北海道遺産にも選定されました。

上空から見たふきだし公園。

南西には羊蹄山があり、羊蹄山にしみ込んだ雨水や雪解け水が長い年月をかけて研ぎ澄まされてこの湧水で吹き出していることが分かります。

機会があれば、是非行ってみたいです。

2. 甘露泉水(湧水)

北海道利尻郡利尻富士町鴛泊、利尻礼文サロベツ国立公園内にある湧水です。名水百選の中でも日本最北。

利尻山の登山道「鴛泊コース」の3合目付近の湧水で、登山者の水場などに利用されています。

水温は年間を通じて約5.5℃を保っています。

登山道「鴛泊コース」の3合目付近とは言え、登山者でなければ簡単に行ける場所でなさそうです。

甘露泉水は勿論ですが、利尻島自体がなかなか行ける場所ではないのが残念です。

3. ナイベツ川湧水(湧水)

ナイベツ川湧水は、北海道千歳市西郊の支笏火山灰台地から湧き出し、蘭越浄水場の東端で千千歳川と合流する内別川の周辺に点在する湧水群を指します。現在60数カ所の湧水地点が確認されています。

4. 富田の清水(湧水)

富田の清水は「とみたのしみず」ではなく「とみたのしつこ」と読みます。その富田の清水は青森県弘前市紙漉町5-2にある湧水で、趣のある建屋の中にあります。

5. 渾神の清水(湧水)

渾神の清水は「いがみのしみず」ではなく、「いがみのしつこ」と読みます。

青森県平川市唐竹滝の沢2-1にある湧水で、名水百選のひとつに選定ています。周辺にはりんご畑もあり、青森県らしい美しい場所にある湧水です。

その昔、坂上田村麻呂が陸奥国の蝦夷征伐に出た際に、矢捨山の近くで眼病にかかってしまいました。そんな時、その土地の鎮守「少彦明神」が夢に現れ、「奥に行けば清水があり、その水で眼を洗えばたちまち治る」とのお告げがあり、その通りにすると眼病が治りました。そこで眼病守護のため、隣の阿蘇ヶ岳に剣を埋め、その上に本殿を建て、薬師神を祀りました。

そんな伝説もあり、「渾神の清水」は「眼の神(めのかみ)」から「渾神(いがみ)」と呼ばれるようになったと言われています。

6. 金沢清水(湧水)

金沢清水(かなざわしみず)は、岩手県八幡平市松尾寄木にある湧水群の総称で、全部で7ヶ所あります。岩手山と八幡平の間を流れる松川沿いに点在する金沢清水は、岩手山の伏流水であると言われています。

湧水量3.4万トン/日

と豊富な湧水量があり、その中で最大の湧水量を誇る座頭清水は岩手県内水面水産技術センターによってニジマス、ヤマメ、アユ、ヒメマスなどの養殖や研究に利用されています。源泉は森の中にあり、立ち入りは禁止されていますが、フェンス越しに見ることはできます。

7. 龍泉洞地底湖の水(湧水)

岩手県下閉伊郡岩泉町 国の天然記念物

8. 桂葉清水(湧水)

宮城県栗原市高清水桂葉

9. 広瀬川(河川)

宮城県仙台市

10. 六郷湧水群

秋田県仙北郡美郷町 水の郷百選、水源の森百選、遊歩百選

11. 力水(湧水)

秋田県湯沢市古館山

 

12. 月山山麓湧水群 湧水 山形県西村山郡西川町 磐梯朝日国立公園

 

13. 小見川 湧水 山形県東根市羽入

 

14. 磐梯西山麓湧水群 湧水 福島県耶麻郡磐梯町

 

15. 小野川湧水 湧水 福島県耶麻郡北塩原村 磐梯朝日国立公園

 

16. 八溝川湧水群 湧水 茨城県久慈郡大子町 奥久慈県立自然公園

 

17. 出流原弁天池湧水 湧水 栃木県佐野市出流原町

 

18. 尚仁沢湧水 湧水 栃木県塩谷郡塩谷町上寺島 日光国立公園

 

19. 雄川堰 用水 群馬県甘楽郡甘楽町 疏水百選、土木学会選奨土木遺産

 

20. 箱島湧水 湧水 群馬県吾妻郡東吾妻町箱島

 

21. 風布川・日本水 湧水 埼玉県大里郡寄居町 水の郷百選、水源の森百選

 

22. 熊野の清水 湧水 千葉県長生郡長南町佐坪滝ノ上

 

23. お鷹の道・真姿の池湧水群 湧水 東京都国分寺市西元町

 

24. 御岳渓谷 河川 東京都青梅市 秩父多摩甲斐国立公園

 

25. 秦野盆地湧水群 湧水 神奈川県秦野市

 

26. 洒水の滝・滝沢川 河川 神奈川県足柄上郡山北町 日本の滝百選

 

27. 竜ヶ窪の水 湧水 新潟県中魚沼郡津南町

 

28. 杜々森湧水 湧水 新潟県長岡市西中野俣

 

29. 黒部川扇状地湧水群 湧水 富山県黒部市、下新川郡入善町 水の郷百選

 

30. 穴の谷の霊水 湧水 富山県中新川郡上市町

 

31. 立山玉殿の湧水 湧水 富山県中新川郡立山町 中部山岳国立公園

 

32. 瓜裂の清水 湧水 富山県砺波市 水の郷百選

 

33. 弘法池の水 湧水 石川県白山市釜清水町

 

34. 古和秀水 湧水 石川県輪島市門前町鬼屋

 

35. 御手洗池 湧水 石川県七尾市

 

36. 瓜割の滝 湧水 福井県三方上中郡若狭町 水の郷百選

 

37. 御清水 湧水 福井県大野市泉町 奥越高原県立自然公園、水の郷百選

 

38. 鵜の瀬 河川 福井県小浜市神宮寺

 

39. 忍野八海 湧水 山梨県南都留郡忍野村 国の天然記念物

 

40. 八ヶ岳南麓高原湧水群 湧水 山梨県北杜市

 

41. 白州/尾白川 河川 山梨県北杜市 南アルプス国立公園

 

42. 猿庫の泉 湧水 長野県飯田市羽場

 

43. 安曇野わさび田湧水群 湧水 長野県安曇野市 水の郷百選

 

44. 姫川源流湧水 湧水 長野県北安曇郡白馬村

 

45. 宗祇水(白雲水) 湧水 岐阜県郡上市

 

46. 長良川(中流域) 河川 岐阜県美濃市、関市、岐阜市

 

47. 養老の滝.菊水泉 湧水 岐阜県養老郡養老町 養老公園

 

48. 柿田川湧水群 湧水 静岡県駿東郡清水町

 

49. 木曽川(中流域) 河川 愛知県犬山市~可児川合流点

 

50. 智積養水 用水 三重県四日市市

 

51 恵利原の水穴(天の岩戸) 湧水 三重県志摩市磯部町

 

52. 十王村の水 湧水 滋賀県彦根市西今町

 

53. 泉神社湧水 湧水 滋賀県米原市大清水

 

54. 伏見の御香水 地下水 京都府京都市伏見区

 

55. 磯清水 地下水 京都府宮津市文珠(天橋立) 日本三景、丹後天橋立大江山国定公園

 

56. 離宮の水 地下水 大阪府三島郡島本町

 

57. 宮水 地下水 兵庫県西宮市

 

58. 布引渓流 河川 兵庫県神戸市中央区

 

59. 千種川 河川 兵庫県西部(宍粟市、佐用町、上郡町、赤穂市)

 

60. 洞川湧水群 湧水 奈良県吉野郡天川村 吉野熊野国立公園

 

61. 野中の清水 湧水 和歌山県田辺市

 

62. 紀三井寺の三井水 湧水 和歌山県和歌山市

 

63. 天の真名井 湧水 鳥取県米子市

 

64. 天川の水 湧水 島根県隠岐郡海士町 大山隠岐国立公園

 

65. 壇鏡の滝湧水 湧水 島根県隠岐郡隠岐の島町 大山隠岐国立公園

 

66. 塩釜の冷泉 湧水 岡山県真庭市 大山隠岐国立公園

 

67. 雄町の冷泉 湧水 岡山県岡山市中区

 

68. 岩井 湧水 岡山県苫田郡鏡野町 氷ノ山後山那岐山国定公園

 

69. 太田川(中流域) 河川 広島県広島市

 

70. 今出川清水(出合清水) 湧水 広島県安芸郡府中町 2012年に、環境省推薦時に、120m離れた『今出川湧水』との名称取り違えが明らかになった[2]

 

71. 別府弁天池湧水 湧水 山口県美祢市秋芳町 秋吉台国定公園

 

72. 桜井戸 湧水 山口県岩国市

 

73. 寂地川 河川 山口県岩国市 西中国山地国定公園

 

74. 江川の湧水 湧水 徳島県吉野川市

 

75. 剣山御神水 湧水 徳島県三好市 剣山国定公園、日本百名山

 

76. 湯船の水 湧水 香川県小豆郡小豆島町 瀬戸内海国立公園

 

77. うちぬき 自噴水 愛媛県西条市

 

78. 杖の淵 湧水 愛媛県松山市

 

79. 観音水 湧水 愛媛県西予市

 

80. 四万十川 河川 高知県西部

 

81. 安徳水 湧水 高知県高岡郡越知町

 

82. 清水湧水 湧水 福岡県うきは市 水源の森百選

 

83. 不老水 地下水 福岡県福岡市

 

84. 竜門の清水 河川 佐賀県西松浦郡有田町 黒髪山県立公園

 

85. 清水川 河川 佐賀県小城市 天山県立公園

 

86. 島原湧水群 湧水 長崎県島原市

 

87. 轟渓流 河川 長崎県諫早市 多良岳県立公園

 

88. 轟水源 湧水 熊本県宇土市

 

89. 白川水源 湧水 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 阿蘇くじゅう国立公園

 

90. 菊池水源 河川 熊本県菊池市 阿蘇くじゅう国立公園

 

91. 池山水源 湧水 熊本県阿蘇郡産山村 阿蘇くじゅう国立公園

 

92. 男池湧水群 湧水 大分県由布市 阿蘇くじゅう国立公園

 

93. 竹田湧水群 湧水 大分県竹田市

 

94. 白山川 河川 大分県豊後大野市(稲積水中鍾乳洞) 阿蘇くじゅう国立公園

 

95. 出の山湧水 湧水 宮崎県小林市

 

96. 綾川湧水群 河川 宮崎県東諸県郡綾町

 

97. 屋久島宮之浦岳流水 河川 鹿児島県熊毛郡屋久島町 世界遺産、霧島屋久国立公園、日本百名山

 

98. 霧島山麓丸池湧水 湧水 鹿児島県姶良郡湧水町

 

99. 清水の湧水 湧水 鹿児島県南九州市 疏水百選、水の郷百選

 

100. 垣花樋川 湧水 沖縄県南城市

平成20年には「平成の名水百選」が選定され全200選に!

平成20年(2008年)6月には、環境省が「名水百選」とは重複しない形で、新たに100の名水を

平成の名水百選

として選定しました。これが「平成の~」と呼ばれるため、既に選定されていた「名水百選」を「昭和の名水百選」とも呼ぶようになりました。

因みに「昭和の名水百選」では全都道府県から選定されたので、「平成の名水百選」ではそのような配慮はなく、完全に実力主義です。後で追加選定されたとは言え、かなりの実力揃いですので、是非そちらもチェックしたいですね。

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